港町の「カフェかもめ亭」を訪れる客が体験した不思議な話

海辺の町にあるオークと煉瓦で作られた「カフェかもめ亭」は、小さな白い自動ピアノが優しい曲を奏でているロマンテックなお店です。ここを訪れるさまざまなお客様が体験した不思議な話を集めた物語になっています。

 仲間から外れてしまって学校へ行けなくなってしまった女の子が、公園で出会った茶トラの猫の『ねこしまさん』は捨て猫でした。引っ越して行った家族がたまに戻ってきて公園のベンチでエサをあげに来ていたことがあって、ねこしまさんはその家族とのベンチから離れないのでした。そこでこの女の子とねこしまさんは出会います。心を閉ざしていた女の子は初めてねこしまさんに心を開きます。ねこしまさんも同じように。ところが、寒くなってきてねこしまさんは具合が悪くなります。ある女の人と獣医さんで治療をした後も、ねこしまさんはベンチに帰ります。 明日、また来ると約束していながら、女の子は熱が出て行けなくなってしまいます。その夜に雪が降って……。

 翌日、女の子は公園で一生懸命ねこしまさんを探しますが、見つかりません。落胆していた所に現れたのが、人間のねこしまさんでした。人間のねこしまさんは、猫の国に帰るからと言い、女の子にお礼を言って立ち去ります。

 カフェかもめ亭で女子高生になったかおるちゃんは、エスプレッソを飲みながらそんな不思議な事を語るのでした。ところが、かおるちゃんが立ち去った後「カフェかもめ亭」にちょっと太目で品の良いお客さんがやってきて、ロイヤル・ミルクティーをたのみます。このお客様こそ、人間のねこしまさんを演じた人だったのです。この人も同じように公園のベンチにいた捨て猫を気にしていた一人でした。というような話で、捨て猫がどうなったかはこの際、伏せておきましょう。

 疲れた時に心がほっこりと温まるハート・ウォーミングな小説です。他に数編のステキな話が詰まっています。好きなコーヒーを飲みながら読むと、ホッと癒される本です。