医師の描く医療本格ミステリー『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』

知念実希人著の『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』。

シリーズ化されています。

プロローグから驚愕な事態になり、惹き込まれます。

手術室で麻酔科医の湯浅春哉が見えない相手に襲われたのです。

まさか、透明人間とでも言うのでしょうか。

そして、亡くなります。そこには湯浅と手術を受けた患者の鴻ノ池舞だけしかいませんでした。

犯人は患者の舞なのでしょうか。

舞と湯浅は大学時代の後輩と先輩で、以前恋人だったらしいのです。

容疑者と睨まれるのは当然と言えば当然なのかもしれません。

舞は、天久鷹央と小鳥遊優のいる天医会総合病院の研修医。

なのに、清和総合病院で虫垂炎の手術をしていて事件に巻き込まれたのです。

この事件はおかしいのです。目撃者は透明人間に襲われていたと証言しています。

いつものことですが、おかしな事件が勃発します。だからこそ、先の展開が気になってハラハラドキドキします。

鷹央は、数々の怪異的な事件を解決してきました。

今回はどう解決するのか読んでいて楽しみでした。

また、鷹央と小鳥遊のなんとも言えない名コンビに会えると思うとワクワクします。

ただ別の病院なので、簡単にはいきません。

そこで、手術室で起きた不可解な事件を解決したい鷹央は、なんと小鳥遊をクビと宣告して事件の起きた病院に送り込むことになるのです。

そんなこと出来るのかと思いでしょうが、鷹央なら出来るのです。

舞の容疑を晴らすことがはたして出来るのでしょうか。

舞は、精神不安定でいつもとは違いました。

容疑者扱いされたらそうなるでしょう。しかも、元恋人を殺したとされているのだから心境は穏やかではないはずです。

私だったら、やはり精神崩壊してしまうかもしれません。

鷹央と小鳥遊は、舞には人間性から見ても医師の判断から見ても麻酔から目を覚ましたばかりで殺人はできないと断言しています。

ならば、犯人はいったい誰なのでしょうか。

事件の起きた手術室は、幽霊が出るという噂もありました。

幽霊の仕業なんてことはありえません。

結局、鷹央は深夜に殺人事件の現場に入り込んでしまいます。

小鳥遊のヒヤヒヤする姿がなんとも滑稽でした。

やはりいいコンビです。

私は舞と小鳥遊の会話も面白くて好きです。

その舞の体調が急変するのです。

なぜか、舞が危機にさらされます。

これもまた犯人の仕業なのでしょうか。

まさか、舞も殺されてしまうのでしょうか。

舞の危機的状況に、私までもが狼狽えてしまいました。

物語なのに、知り合いのような気がしてしまうせいでしょうか。

そんな事態になっても鷹央は凄かったです。

流石です。

すべてが解決した時には、爽快な気分になりました。

ただ舞の心境を考えると切なさも募りました。

この物語を読むと思うのですが、ちょっとした目線が違う気がします。

著者が医師だからこその思いつく発想なのでしょう。

今回も楽しませてもらいました。