不思議でおかしな『小さいおじさん』

堀川アサコ著の『小さいおじさん』。

タイトルを見て、とあるゆるキャラを思い出してしまいました。

もちろん、ゆるキャラは関係ありません。

15センチの着物姿のおじさんが登場するのです。しかも、役所の給湯室に現れるのです。

それだけで、興味が湧いてきませんか。私は興味津々でした。

ただ、小さいおじさんは孤独な人にしか見えないのです。

そんなおじさんを市役所建築課の新米女子職員の千秋は目撃してしまいます。

なぜか黒田節を歌っているというシュールな登場にはにんまりときてしまいます。

ただ笑えないのが、体は小さいのにへそ曲がりで態度が大きいことです。しかも怨霊なのです。

だからと言って、怖さはありません。ファンタジックな気がしてしまいます。

そんな小さいおじさんと千秋は五年前の殺人事件を解決することになります。

想像しただけで笑ってしまいます。

凸凹コンビ誕生ってところでしょうか。

ただ、小さいおじさんは市長の命を狙っているのです。

なぜでしょう。怨霊が命を狙うとただ聞くと震え上がるくらい怖いものを想像してしまいますが、これはそうではありません。

ミステリーではあるのでしょうが、少しテイストが違います。

やっぱり小人のような小ささのおじさんのせいでしょう。

それで、市長のほうも準備は万端です。最初から小さいおじさん対策を講じていました。

陰陽師的な人物の霊的ボディーガードが守っています。

そうそう、小さいおじさんが千秋の飼い猫の背に乗って霊的ボディガードと闘う場面には楽しませてもらいました。

猫に乗ったおじさんは表紙に描かれています。見たら笑みが浮かぶはずです。

我が家の猫の背にそんなおじさんが乗っていたら、目を見開いて驚くでしょう。目の錯覚と思って見なかったことにするかもしれません。

孤独な人しか見えない小さいおじさんの存在って、もし本当にいたとしたら楽しめそうです。それとも、怖いと思うのでしょうか。

私は会ってみたいです。

見えるとしたら、私も孤独だと指摘されたということになってしまいます。

そう考えると複雑ですが、不思議な体験をしてみたいですからそれはそれでいいのかもしれません。

この物語は、最後少し切なく感じます。

なぜかというと、千秋は孤独ではなくなるからです。

どういう意味かはわかると思います。

笑えて切なくてなんだか心地いい物語でした。そんな小さいおじさんに会いたいと思いの方は、この物語の世界へ誘ってみてください。